+ほんの、あれこれ
牧野信一『「悪」の同意語』を読んでいる。牧野は大正から昭和初期にかけての、太宰より一回りちょっと歳上の「ダメ作家」の先輩で、『「悪」の同意語』にも、思わず苦笑せざるを得ないようなダメ人間ぶりが、主に家族との関係を通して徹底的に描かれている…
京都に拠点を置く短歌結社「塔短歌会」が2019.8.24に行なった「現代短歌シンポジウム IN KYOTO」にて、作家の高橋源一郎氏が講演されています。*1この記事では高橋氏の「過去の言葉を受け止め、編み直して未来へ届けてゆく」という言葉をヒントに、sns時代に…
カメキチさんの記事 2019.4.30 『猫も老人も役立たずでけっこう』① - kame710のブログ で養老孟司氏の「猫も老人も、役立たずでけっこう」という本を知りました。物質的には十分以上に恵まれているのに、あくせく働かないと気持ちが落ち着かないわたしたちに…
みなさん、おはこんばんわ。この記事では、スティーブン・キング「書くことについて」とマイクル・クライトン「トラヴェルズ --旅、心の軌跡」という二冊の本を簡単に紹介します。「シャイニング」の原作者であるキングと、「ジュラシック・パーク」の原作者…
今日はちょっと重い内容の本を紹介します。矢川冬さんは小学生のときに実の父親から性的虐待を受けました。50年も昔の話です。助けを求めた母親にも拒絶され、冬さんは一人でその絶望的な状況を乗り越えるしかありませんでした。こちらが彼女の30年にも及ぶ…
いつもながらに話題作りのうまいキンコン西野氏が、11月に発売した新著を12月19日に早速ネット上で公開しました。 ・11月発売&絶賛ヒット中のビジネス書『新世界』を全ページ無料公開します(西野亮廣)|新R25 - 20代ビジネスパーソンのバイブル今までの著…
作家になりたいと、いくらかでも思っているあなたなら、村上春樹の成功について、まったく知らないということはありえないでしょう。彼が「なぜ世界中でこれほどまでに読まれているのか」という理由を、合理的に説明することなどできるわけありませんが、春…
みなさん、神さまは信じてますか?神さまがこの世界を創ったのか、それとも人間が神さまを考えだしたのか。今日は、 E.フラー・トリー「神は、脳がつくった 200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源」(2018 ダイヤモンド社) という本を紹介しながら…
みなさんは「魔術」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。魔法使いのお婆さんが鍋でぐつぐつ秘薬を煎じているところ、なんてのは、ちょっとレトロすぎますかね。何しろアニメの魔法少女がダークファンタジーの世界で活躍する時代ですもんね。あ…
今までぼくは、吉本ばななの小説のどこが面白いのか、よく分かっていませんでした。けれども今回、彼女の「体は全部知っている」という短篇集を読んで、ようやくその「魅力」が分かったので、この記事ではそのことをちょっと書いてみます。 「ミイラ」になれ…
イタロ・カルヴィーノは、20世紀のイタリアの作家のうちでもっとも有名といっていいくらい各国に翻訳されている作家であり、日本語でもほとんどの作品を読むことができます。 その作風は、作品ごとにさまざまで、初期の代表作『木のぼり男爵』は寓話風の物語…
あなたは「ミステリ」って一体どういう小説のことをいうと思いますか?のっけから唐突な質問で恐縮です。鯨統一郎の連作短編小説集「邪馬台国はどこですか?」に狂言回し役として登場する気鋭の歴史学者・早乙女静香なら、「それに答えるには上下二巻の本を…
はてな村のみなさん、こんにちわー。今日は仏教とSFの話の抱き合わせだよっ。 たった一生で涅槃に到達できる!! 4つの真理と8つの方法をお教えします♬ 蝶おもしろSF小説「星を継ぐもの」のご紹介
はてなのみなさん、こんにちわ。昨日の記事 Google Adsense 戦史 - あるいは、ネット上で小遣いを稼ぐまでの遥かなる道行き - *魂の次元* では、すっかり放ったらかしていたグーグルアドセンスのページを久しぶりに見にいったら、収入が 1,000 円を超え、グ…
夜中たわしさんが、 親族により70余年封印された本『悪魔を出し抜け!』オーディオブック版感想 - 夜中に前へ という記事で、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」を紹介しているので、ぼくも便乗してちょっと書いてみます。この本はいわゆる自己啓発本で…
クリスティーナ・ホール「言葉を変えると、人生が変わる」大空夢湧子訳、2008年、ヴォイス google ブックスでカスタネダを検索していたら、この本が目に入った。 カスタネダの「イクストランへの旅」から言葉によって自分を変える方法を書いたくだりが引用さ…
遠藤ミチロウが歌っている「Mr. ボージャングル」しか知らなかったんだけど、ずいぶん昔のアメリカの歌だったんだね、こいつは。 ミチロウのバージョンももちろんいいんだけど、こっちにあるニーナ・シモンのもとってもいい。 よかったら聴いてみてよ。 http…
カート・ヴォネガット「国のない男」によると、マルクスが宗教を共産主義と相容れないものとして否定した、 というのは後世の人の誤解のようだ。 以下、引用。 スターリンの教会破壊や現在の中国での教会破壊についてだが、この種類の宗教弾圧はカール・マル…
「欲望と消費 トレンドはいかにして形づくられるか」スチュアート&エリザベス・イーウェン、 小沢瑞穂訳、晶文社1988 ぼくたちは、ぼくたちの生きる社会を「資本主義」社会として受け止めているのだろうか。 それとも「消費主義」? あるいは「浪費主義」?…
山田正紀「地球・精神分析記録(エルド・アナリュシス)」 心理学的冒険sf。 今から三十年ほど前、中学生の時に読んでさっぱり分らなかったが、帯の惹句、 「狂っているのは私なのか、それともこの世界なのか」というのが忘れられず再読した。 いささか古め…
ハインリヒ・フォン・クライスト「チリの地震」 十八世紀から十九世紀にかけて三十四年の短い歳月を生きたドイツの人の短編集です。 やや古めかしくはありますが、奇妙な味の短編好きのかたなら一読して損はない。 表題作の「チリの地震」など悲劇的な因縁譚…
ディーノ・ブッツァーティ「神を見た犬」関口英子訳、光文社文庫2007 みさなん、お元気でお過ごしでしょうか。 この本については前にもちょっと書いたけど、また読み直したので感想を追加します。 ブッツァーティは独特の味わいの幻想的ないし寓話的短篇を書…
以前森下一仁氏の weblog で見かけて気になっていた 山田正紀「オフェーリアの物語」理論社 2008 を読んだ。 森下氏の言葉を引くと 明治維新後の理性が支配する日本と、それ以前の夢想がそのまま現実と溶け合っていた日本とを 不思議な言語理論で対比する意…
「スターシップと俳句」ソムトウ・スチャリトクル; 冬川亘訳; ハヤカワ文庫SF; 1984 24年振りに、この本を読み直した。 翻訳が出たのが、1984年、ということに縁起を感じる。 マンガ的、「虎よ、虎よ」的、「ニューロマンサー」的、そしてタイ出身の 無民族…
「呪術師カスタネダ」リチャード・デ・ミル、マーティン・マクマホン; 高岡よし子、藤沼瑞江訳; 大陸書房1983 カルロス・カスタネダに関心のある人には、ぜひこの本の第二部を読んでほしいと思う。 だいぶ前からこの本のことは知っていたのだけど、大陸書房…
フロリンダ・ドナー「魔女の夢」近藤純夫訳、日本教文社1987この本は、カスタネダのお仲間である女性人類学者フロリンダ・ドナーが、 ベネズエラで女治療師のもとに住み込むことになり、その経験を縦糸に、 そして、その女治療師のところに訪れる「患者」か…
湊由美子「ゆみペンギン南の島で」東京図書出版会 2008 ゆみペンギンこと湊由美子さんはタイの島サムイでダイビングショップを 経営している京都出身の女性である。 この本はそんなゆみペンギンさんのダイビングインストラクター修業時代の 記録である。 ヴ…
ホルヘ・ルイス・ボルヘス「砂の本」篠田一士訳、集英社文庫1995 話す言葉が文字によって表されることの不思議さ。 子どもの頃からぼくはそういうものに心を魅かれていたようだ。 そんなこともあって今までにいくつもの外国語をかじってきたが、 世界語エス…
カート・ヴォネガット「タイムクエイク」朝倉久志訳 (ハヤカワ文庫2003) ヴォネガットの最後の長編。 63の断章とプロローグ、エピローグからなる、いつものヴォネガット節。 ほかの小説でも狂言回し的に重要な役を演じる売れないsf作家 キルゴア・トラウトが…
藤田西湖「最後の忍者 どろんろん」新風舎2004 1900年生まれ、甲賀流忍術14世を名乗る藤田西湖の回想録はまったく 波瀾万丈である。 甲賀流13世の祖父から忍術を習い、三峯山で山伏の修行をする、 透視能力を身につけ、生き神様に祭り上げられ、十五年戦争で…