*魂の次元* (by としべえ)

肩から力を抜いて、自由に楽しく生きる。

09. どうすれば楽に動けるか

前々項ではあお向けになって右腕と右脚を同時に持ち上げる動きを試み、前項ではその
動作によって取り除かれるはずの普段の余分な筋肉の緊張と背骨の縮みについて解説
した。
この項では、まずうつ伏せになって右腕と右脚を持ち上げてみる。では引用を。
([]内は、那賀乃の注釈)


 ○どうすれば楽に動けるか
  うつ伏せになり、両腕を頭上に伸ばして開く。両腕もひろげる。ゆっくりと右腕と
 右脚を一緒に持ち上げる。腕と脚を上げるとき、頭の位置に注意しよう。右を向いて
 いるか、左を向いているか、それとも真下を向いているか。さて吐く息に合わせて、
 腕と脚を持ち上げる。まず右頬を床につけて、つまり左側を向いてこの動きを数回
 くりかえす。つぎに頬を床につけて、最後に左頬を床につけて、同じくくりかえす。
  この三つの姿勢のときに必要な力の量を比較し、どの姿勢が一番やりやすいかを
 判断する。多少とも調整がうまくできているからだならば、左の頬を床につけたときが
 一番楽な姿勢になるだろう。動きを25回くらい[はじめのうちは10回ほどでいい]くり
 かえし、床にかかるからだの圧力が、胃の左側の胸と骨盤の間に移動するのが次第に
 はっきりしてくるのに注意しよう。
  うつ伏せのまま、さらに右腕と右脚を先程と同じように持ち上げる動きを続けるの
 だが、今度は、動きに合わせて頭も持ち上げ、手の動きを目で追うようにする。25回
 [前述と同様]くりかえしたあと、あお向けになって休息をとる。次は、あお向けの
 まま、いまと同じように頭と一緒に右の腕と脚を上げる動きをくりかえす。練習前に
 くらべて、床に横たわるからだの状態がどう変わってくるかに注意を向ける。一番
 強い力がかかるのはどこか正確につかもう。25回[前述と同様]この動きをくりかえして
 から、休息する。


 ○どちらの眼の開きが大きいか
  立ち上がってしばらく歩きまわり、からだの右側と左側の感覚のちがい、両腕の長さの
 はっきりとしたちがい、両脚の長さのちがいを確かめよう。次に顔を調べてみよう。
 鏡を見ると、顔の半分が生き生きして、そちら側のしわやひだが目立たなくなり、一方の
 眼がもう一方の眼より大きく開いているのがわかる。どちらの眼だろうか。
  今までそれぞれの動きのあとに行った点検のときに、からだの片側の腕と脚が、反対
 側の腕と脚よりもだんだん長くなってくることに気がついていたかどうか思い出して
 みよう。からだの左右の感覚の差異を抑えつけようとせず、できるだけ持続させ、次第に
 弱まって最後に消えてゆくまで観察を続けよう。悩み事とか極度の緊張のような注意力を
 乱す妨害に出会わなければ、この差異は相当長時間、すくなくとも数時間ははっきりと
 残る。その時間のあいだ、からだのどちら側の働きがよく、どちら側の働きがなめらかに
 できるか観察しよう。


さて、この項ではまずうつ伏せになって顔の向きを吟味するわけだが、真下を向いて額を
床につけるのは鼻が邪魔になってかなり苦しい姿勢に思える。こうするかわりに顎の下を
床につけて顔は水平方向に真正面を向いた方が楽かもしれない。
また引用では左頬を床につけ右に顔を向けるのが一番楽なはずと書いているが、わたしの
場合、たぶん首から肩にかけて余分な凝りがあるせいだろう、その向きだと首に無理な
負担を感じてしまう。書かれていることを鵜呑みにせず、自分の体に合わせて試してみて
ほしい。
そして、この項のもうひとつのポイント、そしてある意味でフェルデンクライスの最大の
特長とも言えるところだが、ここまで体の右側だけを丁寧に動かして、その変化を見て
きた。今回の一連の練習では、ここまでで右側の練習は一通り済んだことになる。ここ
までの練習が終わったら、ゆっくり立ち上がり、そしてゆっくり歩きながら自分の体の
様子をじっくり確かめてみてほしい。あなたが体の感覚に敏感ならば、右側と左側の
違いが劇的に感じられるだろうし、そうでなくても多くの人がいい意味でなんらかの
感覚の変化を感じることだろう。


このフェルデンクライスの入門編もいよいよ次回で最終回である。


[ネタ本「フェルデンクライス身体訓練法―からだからこころをひらく」をamazonで見る]

---------------

スポンサーのリンクです