ヤフーニュースで流れているプレジデント・オンラインの記事、
・通勤電車でバレる「幸福な人、不幸な人」(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース
に200ほどのブックマークされているのですが、そこについたコメントが記事の内容と「スレ違い」まくっているところが興味深いので、「エビデンス重視」と「ストーリー重視」という価値観の違いに関連して、一言書いてみます。
- 「自己肯定感」の高さが、幸せな人と不幸な人を分けるってホント? - エビデンス・ゼロなんですけど......
- プレジデント・オンラインの記事を書いたライターさんは、どなたですか? - でも、それにケチをつけているあなたの自己肯定感、大丈夫ですか!?
- 自己肯定感の大切さについて、一言
「自己肯定感」の高さが、幸せな人と不幸な人を分けるってホント? - エビデンス・ゼロなんですけど......
記事で紹介されているのは、心理カウンセラーの大嶋信頼さんが書いた
『「自己肯定感」が低いあなたが、すぐ変わる方法』(2018 PHP研究所)
という本です。
大嶋さんは、
自己肯定感とは「自分で自分のことをOKだ!」と思えることであり、生活のあらゆる場面で意欲や幸福感に影響を与えます。
というのですが、ここでどうしてそのように言えるのかという「エビデンス」については一切触れないという、「文系」の本ではありがちなアプローチをとっています。
そして、「混雑した電車の中で、周りの人を観察する」というシチュエーションで、自己肯定感の低い人の実例がいくつか示されます。
まずは、
- 「偉そうな態度を取っている人」
です。
「偉そうに見える」から「自己肯定感が高いかも」と思ってしまいがちですが、自己肯定感が高い人は「俺はすごいんだぞ」という態度をする必要はないので、こういう人は「自己肯定感が低いのだ」と主張します。
ここでもエビデンスはゼロです。
以下、
- 「混雑している電車の中でもゲームに没頭できる人」は、「ゲームに没頭していなかったら、将来の不安とか人間関係の問題が次から次へと浮かんでくるから、何も見ないようにしている」のであり、やはり自己肯定感が低い、
- 「同僚のフォローができる人」は、「同僚のフォローの形を取って、自分のアピールをしてるだけ」だから、これも自己肯定感が低い、
という具合に、「主観」だけで、話を進めていきます。
自己肯定感が高い人についても同様で、
- 「自然体」でいられる人からは「不快感」を覚えないのですぐに興味を失ってしまうのだけれど、そういう人は「威嚇もしないし、ビクビク感もなく、過剰に何かに集中している必要もない」から、自己肯定感が高いのだと、「散文的」に結論づけて、この記事は終わってしまいます。
これでは「エビデンス重視」の人が
- 「この記事なんなの?」
と思ってしまうのも当然ですよね。
プレジデント・オンラインの記事を書いたライターさんは、どなたですか? - でも、それにケチをつけているあなたの自己肯定感、大丈夫ですか!?
上に見た通り、プレジデント・オンラインの紹介記事は、エビデンスの点からは内容ゼロですし、ストーリーの点から見ても、続きを読みたくなるようなものではありません。
(内容としては特別間違ってるとは思いませんけど)
この紹介記事を書いたライターさんは、たぶんまだ修行中の方なのでしょう、がんばってください、としか言いようがありません。
(と、初め思ったのですが、ライターさんは指定の場所をただリライトしただけなのかもしれません。その場合、エディターさんのセンスの問題ですね。沈みゆく出版業界で、目の回る日々を送ってらっしゃるのだろうとは思いますが、エディターさんもがんばってんださいねー。)
でも、問題はそこじゃないんです。
その記事にわざわざ否定的なコメントをつけていらっしゃるあなたの「自己肯定感の低さ」が気になってしまうじゃないですか。
(余計なお世話の話しであり、ぼく自身の自己肯定感の低さがなせるわざでしょうけれども :-)
大嶋さんにならって言わせてもらえば、
- 「ネット上で目についたダメな記事にわざわざ文句をつけるような人」
は、みずから「自己肯定感」の低さを宣伝しているようなものです。
あなたのような人こそ、大嶋さんの本を読んで「自己肯定感」を高めてほしい......
......と言いたくなるところなのですが、そういう「エビデンス重視」のあなたには、大嶋さんの本は向きそうにありません。
あなたにおすすめの本は、「分裂勘違い君劇場」でお馴染み、ふろむださんの
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」できまっている』(2008 ダイヤモンド社)
です。
この本を読めば、自己肯定感なんて高めないでも、実力以上のあなたを演出できますし、なによりきちんとエビデンスつきですから、100%納得できること請け合いです。
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自己肯定感の大切さについて、一言
「自己肯定感」という言葉の「好き・嫌い」はあると思うんですが、その大切さについては、いくら言っても言いすぎにはならないと思います。
「自己肯定できない人に幸せなし」って感じです。
あなたがどんなに頭がよくても、どんなにお金を稼ぐのがうまくても、どんなに素晴らしい家庭に恵まれても、「自己肯定感」という土台がなければ、あなたは幸せになれません。
もちろん多くの人は「そこそこの自己肯定感」を持って、「そこそこに幸せ」にやっているのですから、それに満足しているあなたは、わざわざ
- 「自己肯定感を高めなくっちゃ」
などと思う必要はありません。
でも、「自己肯定感の高い人は、幸せに感じる度合いも高い」なんて話は、ネットを検索すれば、いくらでもエビデンスも得られる話ですしねー。
大嶋信頼さんの本は、「そこそこ満足」してる人にも十分役に立つ内容ですから、興味のある方は読んでみてもいいんじゃないかしら。
ちなみに、上の紹介内容では、
- 「この大嶋って人、アホちゃう?」
としか思えないかもしれませんが、決してそんなことはありません。
ぼくは直接は大嶋さんは知りませんが、大嶋さんの弟子筋のとても有能なセラピストの知り合いがいます。
大嶋さんの著書はちらちらとしか読んだことがなく、ちょっとクセは強いのですが、内容は納得できるし、アマゾンで見ると評判もいいです。
セラピーなどという「ふにゃらけたもの」の嫌いな「エビデンス重視」の方には縁のない本だと思いますが、
- 人はデータのみに生きるものではありません。
もう少し正確に言えば、
- ストーリーのないデータには使い道がない、
のだし、
- データは提示されなくとも、真実のストーリーは人を動かす、
ということにもなりましょうか。
なんだか冴えない人生を送ってるな、と感じている方で、
「トラウマちゃん」とか「無意識さん」とかいう言葉使いに抵抗が感じず、自分の心に「心よ!」と呼びかけたりするのも大丈夫な方は、大嶋さんの本を読んでみると、案外気楽に生きられるようになるかもしれませんよ。
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大嶋信頼「無意識さんの力で無敵に生きる: 思い込みを捨て、自由自在の人生を手に入れる方法」(2016 青山ライフ出版)
てなわけで、この記事はおしまいです。
それではみなさん、ナマステジーっ♬